AI×カスタマーサポート改革! 通話後の対応時間を50%短縮した裏側

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こんにちは、今年の4月で入社5年目を迎えるエンジニアの角田です!
最近はAIを活用した業務改善を任せてもらえる機会が増え、学びの多い毎日を送っています。

今回は、社内で進めた「カスタマーサポートのアフターコールワークをAIで短縮する」という取り組みについて紹介します。

全てを内製し、スピーディーに連携できるシムネットだからこそ実現できた事例です。
AI活用や自動化に興味のある方は、ぜひ最後まで読んでみてください!

プロフィール

所属:UXシステム開発部
出身地:福島県
血液型:O型
趣味は約5年前からはじめたデジタルイラスト。ゲームも大好きで、休憩室で先輩社員と一緒にプレイすることも。

今回使った技術スタック

  • Amazon Connect / Amazon Connect Contact Lens
  • 社内API(Laravel)
  • 生成AI(AWS Bedrock / Claude)
  • チャットツール(Rocket Chat)
  • プロンプトエンジニアリングによる要約調整

AWSを使ったリアルタイム連携生成AIの実務応用に興味がある方には刺さる内容だと思います!

カスタマーサポートの課題

シムネットでは、コールセンターのシステムに Amazon Connect を使用しています。
カスタマーサポートチームでは、限られた人員で「いかに多くのお客様のお電話を受け、質の高いサポートを提供するか」という課題を抱えていました。

FAQや問い合わせフォームも提供していますが、「複雑な問い合わせ」や「急ぎの対応」が求められる場合は、やはり電話が最もスムーズです。

しかし、通話時間を削るのは難しいため、「通話後の処理時間」=アフターコールワーク(ACW)の短縮に注目しました。

ACWにかかる時間とその背景

現状、通話終了後のACWには、平均で約6分かかっていました。
(シムネットでは少人数で一次対応から二次対応までを一気通貫でおこなっており、対応内容も多岐にわたるため、履歴の整理に時間がかかる背景がありました)

テンプレート化や要点記録などの施策を実施しましたが、大きな改善にはつながりませんでした。

通話ごとに内容を整理して入力しています

AIでの解決アプローチ

シムネットではAI活用に注力しており、この課題もAIで解決できないかと考えました。

CS(カスタマーサポート)チームとエンジニアが協議を重ね、「Amazon Connect Contact Lens を利用した音声の文字起こしと、生成AIを使った要約によって履歴入力を自動化できるのでは?」という仮説のもと、動き出しました。

初期実装(テスト版)

まずは、簡単に始められる構成で試験運用を実施しました。

構成概要(初期案)

  1. Amazon Connect で通話分析をON
  2. Amazon S3 に音声の文字起こし結果(JSON)を保存
  3. Amazon SNS で社内APIへ通知
  4. APIが文字起こしデータを取得し、生成AIへ送信
  5. AIが要約 → チャットに通知
  6. オペレーターがそれをコピペして履歴に反映

結果と課題

  • 要約が通知されるまで5〜7分のタイムラグがあり、時間短縮には不向き
  • 通話終了後にソフトフォンのステータス変更をおこなわないと、文字起こしが開始されない
  • ステータス変更後、文字起こしの完了までに約7分かかる

リアルタイム化と低コストの最適解

「もっと早く要約を通知したい。しかし、コストは抑えたい」── そんな課題感の中で、さまざまな方法を検討しました。

Amazon Kinesis などの選択肢もありましたが、リアルタイム性に優れる一方で、コストが高くなりやすいというデメリットがありました。

低コストかつ高効率な要約自動化の仕組み

最終的にたどり着いたのが、Amazon Connect Contact Lens の API を活用する方法です。
これにより、通話終了からわずか5〜10秒で要約を通知できる仕組みを構築することができました!

さらに、CSチームが使いやすいように生成AIへのプロンプトを調整し、履歴入力フォーマットに即した文章が出るよう、微調整を重ねました。

文字起こしした通話内容をAIが要約

成功のカギは“スピード×内製”

今回の取り組みにより、アフターコールワークの時間は6分から約3分へと、約50%の短縮を実現できました。

さらに、運用コストは月額1,000円程度。Amazon Connect Contact Lens の文字起こし費用のみで、生成AIにかかるコストはほぼゼロです。

最後に

内製だからこそのスピード感と、AIの活用で仕組みを最適化

今回の取り組みを通じて、AIの活用によって業務効率を大幅に向上できることを改めて実感しました。
現場の課題に向き合いながら、AIやクラウドの技術を実務に落とし込む取り組みを、これからもどんどん進めていきます。

シムネットでは、スピード感を持って改善を進めつつ、コストや運用のしやすさにも目を向けながら、地に足のついた開発を大切にしています。

「エンジニアリングで現場の課題を解決する」ことに面白さを感じる方にとっては、きっと楽しめる環境だと思います。

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